建設業財務諸表の作成について

決算報告及び経営状況分析申請において提出していただく建設業法施行規則別記様式に準じた財務諸表(ここでは建設業財務諸表といいます)の作成に関して中小企業向けにいくつかのポイントをまとめました。

基本的には、確定した決算書(税務決算書、決算報告書や基本財務諸表)から転記する方法で作成していると思います。建設業財務諸表は千円単位で表示し、この場合端数処理を統一して行うようにします。各科目の数値を端数処理して書き写すように、科目合計も同様に合計科目の数値を端数処理して転記するようにします。
つまり、計算は1円単位で行われ、表示は統一した端数処理によるという意味です。
したがって、建設業財務諸表において千円単位で合計した数値と科目合計を千円単位で表示した数値には、差額が生じる場合があります。ただし、影響の少ない科目であわせる(表示上の差額について調整する)など合理的な方法で記載いただくことは問題ありません。
消費税の処理について、免税事業者の場合を除いて、経営事項審査を受ける建設業者の場合は税抜き処理をした建設業財務諸表を作成します。税務決算書が税込処理で行われている場合は、損益計算書、完成工事原価報告書を税抜き処理した上で 作成する必要があります。

平成26年10月31日「建設業法施行規則等の一部を改正する省令」の公布され、平成27年4月1日から施行されます。
様式第15号、第17号の3、18号記載要領において、記載を要する資産または負債の基準が総資産(または負債及び純資産の合計)の100分の1から100分の5になりました。

  • 財務諸表は、端数処理を統一して千円単位で表示する。(大会社を除く)
  • 経営事項審査を受ける建設業者は、免税事業者を除き、税抜き処理で作成する。

建設業財務諸表の様式

法人の場合は、建設業法施行規則別記様式第15号、第16号、第17号及び第17号の2により作成します。株式会社において資本金が1億円を超える場合、または 貸借対照表の負債合計が200億円以上となる場合は、様式第17号の3による「附属明細表」を添付します。
個人の場合は、建設業法施行規則別記様式第18号、第19号により作成します。
各財務諸表の様式は、ダウンロードページから入手できます。

貸借対照表 資産の部

  • 営業取引によって生じた債権は流動資産として計上し、営業取引以外で生じた債権(貸付金、未収入金または仮払金、立替金に含まれる実質的に金銭債権と認識できるもの)についてのみ1年基準(ワンイヤールール)が適用される。 ただし、破産債権、更生債権等で1年以内に回収できないことが明らかな場合は固定資産に計上する。
  • 流動資産、固定資産の「その他」に計上する金額が資産合計の5%を超える場合は、適切な科目名をもって記載する。
  • 創立費、開業費、株式交付費、社債発行費、開発費以外の税法上の繰延資産は、投資その他資産へ計上する。

完成工事未収入金と売掛金

資産の部、流動資産における工事請負代金の未収額は「完成工事未収入金」として計上し、建設業以外の兼業事業にかかるものは「売掛金」として計上します。税務決算書が一般商工業の科目で処理をされている場合は、 建設業財務諸表の作成の際には、あらためて当該科目へ適切に計上するようにしてください。

棚卸資産

建設業以外の兼業事業にかかる棚卸資産(商品等)については、「販売用資産」として計上します。

貸借対照表 負債の部

  • 割引手形は流動負債に含めない。(流動資産の受取手形にも裏書、割引手形は含まれない)注記表に手形割引高、裏書譲渡高として記入する。
  • マイナス計上される科目はないので、その場合は未収入金等の資産科目へ振替える。
  • 流動負債、固定負債の「その他」に計上する金額が負債純資産合計の5%を超える場合は、適切な科目名をもって記載する。

工事未払金と買掛金

負債の部、流動負債における工事原価に算入される費用の未払い額については、「工事未払金」に計上します。建設業以外の兼業事業にかかる費用の未払い額は「買掛金」として計上します。「未払金」は、 工事未払費用と区別する必要があります。

未成工事受入金

引渡しを完了していない工事について請求代金の受入高(工事前受金)を記入します。仮受金、前受収益と区別する必要があります。

未払法人税等

中間申告を控除した残額について確定した決算として法人税、住民税、事業税の未払額を計上します。(仮払法人税等は期末に精算します)

貸借対照表 純資産の部

法人

  • 純資産の部に表示する各科目は、株主資本等変動計算書(様式第17号の2)の各当期末残高と一致する。
  • 「負債純資産合計」は、資産の部の「資産合計」に一致する。

個人

  • 「期首資本金」は、前期末の純資産合計に一致する。
  • 「事業主利益(△損失)」は、損益計算書の事業主利益と一致する。
  • 「負債純資産合計」は、資産の部の「資産合計」に一致する。

損益計算書・完成工事原価報告書

  • 販売費及び一般管理費の既定の科目へ整理し計上する。金額が大きな費用等は、適切な勘定科目を用いて追加して良い。
  • 手形売却損は、支払利息に含めない。
  • 営業債権に関する貸倒引当金繰入額、貸倒損失は販売費及び一般管理費に計上する。それ以外は営業外費用に計上する。(ただし、異常なものを除く)
  • 法人税、住民税及び事業税は必ず計上する。
  • 完成工事原価報告書は、損益計算書に記載した完成工事原価が一致するように記載する。

税込み処理から税抜き処理への修正

税込処理における決算書の売上高の税抜き金額を求め、売上原価の課税対象の費用から消費税相当額を控除し、販売費及び一般管理費の課税対象の費用から消費税相当額を控除します。 さらに、修正によって生じた消費税差額を一般管理費の「租税公課」で減算し「営業利益」であわせるように修正する。または営業外収益等に「消費税差額」として計上し「経常利益」にあわせて修正する簡易的な方法があります。

事業年度の期間が12ヶ月に満たない場合

「経営状況分析申請」では決算期の変更等により12ヶ月に満たない場合は、損益計算書、完成工事原価報告書について12ヶ月分に換算する必要があります。 分析機関に対しては換算表を建設業財務諸表に添付して提出して下さい。
換算表はダウンロードページから入手できます。

株主資本等変動計算書

  • 前期末残高の数値を前期財務諸表から引継ぎ、当期末残高の数値は、貸借対照表の純資産の部の数値と一致するように作成する。

注記表

記載すべき内容等については、記載要領に基づいて適切に記載します。元となる決算書の「個別注記表」に沿って該当する項目を転記すればOKです。ただし、以下の点については留意してください。

  • 貸借対照表関係 (2)「保証債務、手形遡及債務、重要な係争事件に係る損害賠償義務等の内容及び金額」欄に記載義務の有無にかかわらず受取手形割引高、受取手形裏書譲渡高について千円単位で記載する。

兼業事業売上原価報告書

損益計算書に兼業事業売上原価を計上した場合は作成して下さい。経営状況分析申請の際に必要となります。

  • 損益計算書に記載した兼業事業売上原価が一致するように記載する。